古巻和芳展「skywalker−Spirit in heaven, Soul on earth」
記憶の汀にて
現代美術作家の古巻和芳によ る個展「skywalker−Spirit in heaven, Soul on earth」を開催します。
古巻和芳は、兵庫県⽣まれ。 関⻄を拠点に 1990 年代から花をモチーフとした絵画作品を発表しており、2006 年から「⼤地の 芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で養蚕をテーマに継続的に集落と関わったことから、そ の場所の記憶に向き合ったサイトスペシフィック作品を発表するようになりました。近年は、養 蚕に縁が深い桑の⽊を素材に⼈物像を彫ったことをきっかけに、⽊像彫刻を⼿がけています。
また、古巻は 2007 年の神⼾ビエンナーレ以降、阪神・淡路⼤震災とその記憶をテーマにした 作品も継続して制作しており、本展は、⽷の上を渡る姿の⽊像彫刻「Skywalker」と、アサガオの タブロー「The Glory」、そして震災⽡礫をイメージした⽩い陶器(セルベン)の⼩⼭、この3つ の要素で構成されます。
本展は、会期中に震災 31 年⽬の節⽬を迎えます。あの震災の記憶が忘却の汀に沈みつつある 今、それでもそこから聴こえる⼩さな声に⽿を澄ませ、31年という年⽉について考える機会と します。
- 会期
- 2026.1.9-18(最終日 16:00)
- ジャンル
- 現代アート
作家紹介
ARTIST
- 略歴
-
1967
兵庫県宝塚市⽣まれ 1989
神⼾⼤学経営学部商学科卒業
○展覧会歴(個展) 1993 「SWEET ROOM」(番画廊/⼤阪) 1994 「SWEET ROOM」(ギャラリーView/⼤阪) 1995 「G.T.B SHOWROOM」(番画廊/⼤阪)
「サマー・アペルト'95」(The Ufer! Gallery/京都) 1996 「Bomb Voyage」(ギャラリー・ラ・フェニーチェ/⼤阪) 1998 「Flowery」(キリンプラザ⼤阪) 1999 「花の蔭から」(ギャラリー・ラ・フェニーチェ/⼤阪) 2000 「花の向こうへ」(ギャラリー・マーヤ/⼤阪) 2002 「The Glory」(ギャラリー⼆葉/東京)
「The Glory」(ギャラリー・ラ・フェニーチェ/⼤阪) 2003 「The Glory」(ハートフィールドギャラリー/名古屋) 2013 「絹の国の⺟たち」(ギャラリーあしやシューレ/兵庫) 2017 「褜と空洞の間の庭で」(MU 東⼼斎橋画廊/⼤阪) 2019 「降り積もる、⾔葉が⾒える/安⽔稔和「地名抄」より」(ギャラリー島⽥/神⼾)
「降り積もる、⾔葉が⾒える/神⼾−ユダヤの聖句を拾う」(ギャラリー島⽥/神⼾) 2020 「光の⼿ざわり」(MU 東⼼斎橋画廊/⼤阪) 2022 「降り積もる、⾔葉が⾒える」(city gallery 2320/神⼾) 2023 「Walk on a thread」(MU 東⼼斎橋画廊/⼤阪) 2024 「Skywalker, Toward Morning Glory」」(ギャラリーノマル/⼤阪) 2025 「skywalker−Spirit in heaven, Soul on earth」(ギャラリーナユタ/東京)
「客⼈の宿−⽵斎と敏⽣とともに The House for Marebito」(Nishiima25/岡⼭)
○展覧会歴(グループ展)等 1991 吉原治良賞美術コンクール(⼤阪府⽴現代美術センター) 1992 伊丹⼤賞展・佳作賞(伊丹市⽴美術ギャラリー) 1993 印象神⼾絵画展・優秀賞(神⼾市⽴博物館) 1994 キリンコンポラリーアワード'94・奨励賞(キリン横浜ビアビレッジほか) 1996 アワードフェスティバル(キリンプラザ⼤阪) 1997 ART MOVE(神⼾アートビレッジセンター)
兵庫の美術家(兵庫県⽴近代美術館)
現代作家の眼・クロスオーバー10 現代美術展(岡⼭県総合⽂化センター) 2001 第 20 回安⽥⽕災記念財団選抜奨励賞展(安⽥⽕災東郷⻘児美術館/東京) 2004 ⼤阪アートカレイドスコープ OSAKA04(⼤阪府⽴現代美術センター) 2006 越後妻有アートトリエンナーレ「繭の家―養蚕プロジェクト」 2007 神⼾ビエンナーレ(アートインコンテナコンペティション)「掃き清められた余⽩から」実⾏委員会特別賞 2008 マキイマサルセレクション異相の花園(マキイマサルファインアーツ/東京) 2010 ⻄宮船坂ビエンナーレ「巣⽴ちの部屋−Singing Birds Project」(兵庫) 2011 奈良・町屋の芸術祭HANARARTはならぁと「花の⾈」(⼤和郡⼭市・川本邸) 2012 越後妻有アートトリエンナーレ「養蚕プロジェクト−光をつむぐ祈りをつなぐ」
⻄宮船坂ビエンナーレ「巣⽴ちの部屋 2012」(兵庫) 2014 震災から 20 年 震災・記憶・美術「掃き清められた余⽩から 2014」(BB プラザ美術館/神⼾) 2015 越後妻有アートトリエンナーレ「養蚕プロジェクト−誰が袖/絹の国の⺟たち」 2017 港都 KOBE 芸術祭「九つの詩⽚−海から神⼾を⾒る」 2018 神⼾市役所展望ロビー「九つの詩⽚−神⼾の空に掲げる」 2023 NOTHING ギャラリー湯⼭企画展(新潟県⼗⽇町市) 2024 ノマル 35 周年記念 2 : All Stars – RESONANCE(ギャラリーノマル/⼤阪) 2025 古巻和芳 + ⻄村陽⼀郎「夏に輝く」 Summer Glory (ギャラリーナユタ/東京)
○受賞 2008 第36回ブルーメール賞 2022 芸術⽂化団体半どんの会⽂化賞 - 展示・活動歴
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作家インタビュー
INTERVIEW
- 展覧会名について教えてください
- 今回のタイトル「Spirit in heaven, Soul on earth」は、1995 年の阪神・淡路⼤震災を経験した 神⼾の詩⼈・安⽔稔和(1931 -2022)が、晩年に東⽇本⼤震災をテーマに書いた「閖上 ゆりあ げ」(2018 年)という詩に想を得ています。
閖上 ゆりあげ
⾒渡せば あ び 地に阿⽐の群れ。
ゆらり揺れ やまず。
⾒上げれば 天に星屑。 なくなった⼈の⽬ いなくなった⼈の⽬。
こん
魂は天に はく 魄はいまも地に。
ゆらり⽴ち 帰れ。
(宮城県名取市/安⽔稔和「地名抄」東⽇本 六篇より 2011 年 3 ⽉ 11 ⽇ 東⽇本⼤震災)
制作工程
今回の展⽰は、2025 年の1⽉、神⼾の震災 30 周年の節⽬に東京・銀座のギャラリーナユタで 展⽰した同名の展覧会を、1 年後に芦屋で再構成のうえ、展⽰するものです。Skywalker は⽡礫の 上を渡って往く⼈の姿、天にある光に向かって歩む姿を意識していますが、もちろん、神⼾の震 災だけではなく、近年頻発する災害や紛争、あるいはその他様々な困難な状況に向き合う⼈に重 ね合わせて⾒ていただければよいと考えています。