福嶋久美子 <綯い>の美
八百万の神にここは清い場所ですと伝える印がしめ飾りです
稲の選定、稲を綯うところから始め、しめ飾りのデザイン制作までしている、日本でただ1人のしめ飾り作家、福嶋久美子。
福嶋さんの作品は迫力があると同時に、背筋が伸びるような包まれるような尊い気持ちにさせてくれます。
作家が魂を込めて作っていることが伝わってくる作品です。
- 会期
- 2025.12.12-28 11:00-17:00(最終日 16:00)
- ジャンル
作家紹介
ARTIST
福嶋久美子
- 略歴
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フラワーアレンジメント作家としての活動と並行して、神社に奉ずるしめ縄を綯う先生に師事。以来、継承した伝統技術を駆使して生命力あふれる造形にモダンなセンスを加えたしめ飾り作品を精力的に制作する。花材メーカーの株式会社アスカ商会から、同社とコラボレーションしたオリジナル作品を販売中。兵庫県西宮市でフラワースタジオナチュラルを主宰。
- 展示・活動歴
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作家インタビュー
INTERVIEW
- ◆綯いの技術は……
- 全国の有名な神社のしめ縄を綯われる先生からご教示いただいています。数字や左右にも思いを乗せる文化を受け継ぎ、「三本綯い」「左綯い」を基本としています。造形は、五穀豊穣や吉祥の願いを込めた「俵」や「鶴」といった伝統的なしめ飾りのモチーフに加え、オリジナルで自由な造形にチャレンジしています。
- 使用している稲わらは……
- 100%国産です。家族が食べるお米を大切に育てている田んぼを求めて全国各地を探し歩き、現在は主に兵庫県川西市、長野県戸隠山麓の農家さんなどから分けていただいています。青い稲わらはしめ飾り用に育てられたもので、「青刈り」「実取らずの藁」とも呼ばれます。大阪府柏原市で特別に栽培されている「伊勢錦」という品種です。
制作工程
稲わらには、人を魅了する不思議な力があります。昔の人もそう感じたからこそ、実用の道具として活用するだけでなく、「しめ飾り」として家中に飾ってきたのでしょう。身近な素材やかたちの一つ一つに思いを乗せるのは、日本文化の大きな特色です。私も作品制作で「こころもち」をとても大事にしています。稲わらに触れる前に必ず心を鎮め、感謝だけで自分を満たすようにしているのです。太陽の光を浴び、風になびき、水を吸い上げ、虫や鳥と共生しながら米を育んだ稲わらには、環境のすべてが宿っています。人工物に覆われた現代の都市空間に、日本風土が育んだ「本物」の息吹を届けることができれば、とても嬉しく思います。